氏名

高橋亘

住所

島根県大田市

部門

「あなただけの7つの習慣」部門

 3年前に「7つの習慣」の本を初めて手にした。36歳の時だった。それまでの人生が目的地も地図なく、ただやみくもに突っ走っているだけだったということに気づいた私は、早速、ミッションステートメントを作成した。その後、大学に勤める私は学生たちにも「7つの習慣」を紹介、ミッションステートメントを課題とし、発表会も行った。人生の意味や目的について深く考えず、貴重な大学時代をなんとなく過ごして欲しくはなかったからだ。幸い、学生たちはミッションステートメントの意義や重要性を十分理解してくれたし、発表会はいつも感動に包まれる。にもかかわらず、しばらく経つとその内容どころか、書いたということすら忘れてしまう学生が大半だった。▼そこで考えたのが「ミッションステートメントムービー」。自分が書いたミッションステートメントに音楽と写真を合わせて2~3分の動画にするのである。ポイントは写真だ。自分や家族の幸せそうな姿、再新再生に励んでいる様子、尊敬する人物、夢や目標、価値観を連想させる写真、行ってみたい場所、好きな本の表紙、お気に入りの絵、、、ミッションステートメントの内容を写真で視覚化し、その写真の間にミッションステートメントを1文ずつ挿入する。そして、自分が好きな歌や元気が出る曲をBGMとして入れれば完成。デジタル世代の学生たちは、ムービー作りとなるとがぜん主体性を発揮して、素敵な作品をたくさん作って来てくれた。全体的に落ち着いたBGMや写真を選び、ミッションステートメントに深みを持たせたもの、アップテンポの曲で夢に向かって突き進む力強さを表現したもの、、、驚くほど感動的なムービーもあった。映像と音楽の持つ力が文章とあいまって相乗効果を発揮する。一つの「作品」としての完成度が、本人のみならず観る者の心に強く訴えかけるのだ。▼だがこのムービー、作っただけで終わりではない。学生たちのFacebookやブログ、mixiなどでムービーを公開させるのがミソである。すると他人がムービーを観るので、公的な表明となり実践しようという気になる。また、学生たちはお互いにムービーを観て、その内容や出来をほめたり励ましのメッセージを書き込んだりする。そうすることで、お互いに信用残高を高めwin-winの基礎を作り、また、ムービーを通してその人がどんな価値観や使命を持っているのか、まず相手を理解しようとするのである。▼そしてもう一つの長所は、ムービーを「携帯」できるという点だ。スマートフォンがあれば、いつでもどこでも自分のムービーを観ることができる。私自身、1日に1回は観ることにしているし、学生たちにもそのように勧めている。ムービーを観ると、体の奥からやる気が湧き出てくるし、自分にとっての重要事項を優先するようになる。また、自らの価値観や目標と違う方向に進みそうな時には軌道修正をしてくれる。そして、寝る前には1日を振り返って、どれだけ実践できたかを反省しながらムービーを観たりもする。▼20代前半の大学生にとって、速度よりも大切なのは方向だ。自分のムービーを毎日観ている学生たちは口をそろえて「人生の目的地をいつも意識できるようになった」と言う。私はこれから出会う学生たちにも言い続けるだろう。「1度しかない人生、漂流せずに航海できるよう、自ら地図を作り長い長い旅に出よう。」