氏名

K.M.

住所

神奈川県座間市

部門

「あなたの好きな7つの習慣」部門

高校一年生の冬、私はある人に勧められて『7つの習慣』を手にした。この類の本はそれまで読んだことがなかったが、彼がこの本について熱心に語っていたこと、そして私が彼のことをとても尊敬していたということもあり、いったいどのような本なのだろうかという思いで読み始めた。

 灯台のエピソードで早速パラダイムシフトを経験した私は、この先に自分の知らない世界が描かれているかもしれないという期待と共にページをめくった。ところが「第一の習慣 主体性を発揮する」に書かれていたあるメッセージが目に留まった時、愕然となった。

 「あなたの許可なくして、誰もあなたを傷つけることはできない」(エリナー・ルーズベルト)、「自分で投げ捨てさえしなければ、誰も私たちの自尊心を奪うことはできない」(ガンジー)。

 先ほど高校一年生と書いたが、実のところ、私は高校に通っていなかった。正確には、“高校一年生の歳になった冬”の出来事である。中学の時に校内暴力に悩まされた私は、それから強く人を憎むようになった。その心がやがて精神を蝕み、まともな生活を送ることができない状態になっていた。過度の心配性、強迫観念。高校には進学したが、やがて通えなくなり、その年の秋には中退していた。

 そこまで意識してはいなかったが、私は自分のことを“被害者である”と強く思っていたのだろう。だからそのメッセージを目にした時、即座に反発した。“そんなはずはない。俺が今このような状況にあるのは、自分でそのようになることを許したからだというのか?”受け入れられなかった。しかし、その問いは自分の中で何度も繰り返された。…沈黙が続いた。心でははっきりと感じていたのだ。今の私がいる場所は、自分自身の意思によって定められたところであるということを。たとえ環境がどうであったとしても、私には自らの選択を主体的に決定できる自由があるということを。

 そこから、私の人生が変わった。不都合なことが起こっても人のせいにするのではなく、自らのあり方に集中するようになった。私にそのような主体的な力があるということは、残酷な事実であると同時に、私自身を解放してくれる真実であった。その後、働きながら大検を取り、大学を卒業した。結婚し、子供もできた。今、人生を積極的に生きられているのも、あの時の出会いがあったからだと思う。自らの人生を受け止め、主体的に生きる主人公になること。もし子供に何か与えられるとすれば、そのことをまず伝えてあげたい。私がこれからも、そのように生き続けることによって。