第3の案
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33第2章 ◆ 第3の案:シナジーの原則、パラダイム、プロセスレッシャーが常にかかっている。デミングの考え方とカンバン方式の組み合わせから、世界で初めての「TQC(総合的品質管理)」という第3の案を生んだ。TQCの目的は、品質の継続的改善とコストの継続的削減を同時に進めることであり、それは製品をどのように改善すればよいのかというマインドセットである。二者択一の考え方が蔓延していた米国の製造企業は、高品質で手頃な価格の日本製の自動車や電子機器との競争に苦戦した。この悪循環が、米国の重工業に壊滅的な影響を及ぼすこととなったのである。二者択一思考これらの例からわかるように、第3の案を探すマインドセットを持たなければ、シナジーはまず起きない。特定の問題に対して二者択一の考え方しかできない人は、シナジーが可能であることすら認めようとしない。競争しか見えず、協力など問題外であり、常に「こちら対あちら」の図式になる。二者択一思考の人は、「自分の道を行くか、他人の道を行くか」という間違ったジレンマに陥る。二者択一の考え方は、見えるのは青か黄だけで、緑は見えない色覚異常の状態なのである。二者択一の考え方はどこにでもある。その極端なものが戦争だが、そこまでいかなくとも、「大論争」のようなものではある。保守派が何を言ってもリベラル派は耳を貸さない。その反対もしかり。会社の長期的な利益を犠牲にし、目先の利益を追いかける経営者がいると思えば、当面の利益を考えようとせず会社は倒産寸前なのに、自分は「長期的な視野に立っている」と言い張る経営者もいる。いずれの経営者も考え方が短絡的だ。あるいは、科学を排除する宗教者と、宗教にまったく価値をおかない科学者。(ロンド

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