第3の案
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25第2章 ◆ 第3の案:シナジーの原則、パラダイム、プロセスが一〇にも一〇〇にもなる。それどころか一〇〇〇になることさえある。複数の人間がお互いを尊重し、それぞれの先入観を超えて一致協力して大きな問題に立ち向かった時、驚くほど強力な結果が得られる。古い現実よりもはるかに良い新しい現実を生み出そうという情熱、エネルギー、創意、興奮が相まった状態がシナジーである。シナジーは妥協とは違う。妥協なら、一+一はせいぜい一・五にしかならない。全員が何かを失う。しかしシナジーが起きれば、対立を解決できるだけでなく、対立を超越し、新しい何かに到達する。それは新たな約束で全員を活気づかせ、未来を変える何かである。シナジーは、私のやり方よりも、あなたのやり方よりも優れている。シナジーは私たちのやり方なのである。シナジーの本来の意味を理解している人はほとんどいない。その理由の一つは、誤用が蔓延し、軽薄な言葉に成り下がっていることだ。たとえばビジネスの世界では、株価を上げるためだけの吸収合併の体裁のよい言いわけとして皮肉まじりに使われることが多い。私の経験から言って、だれかの嘲笑を買いたいなら、「シナジー」と言い放てばいいだろう。そのために多くの人は、実際には小さなシナジーすら経験していないのである。この言葉を耳にしたことがあっても、本来の意味を歪めて使われていることがほとんどである。ある友人が「スーツの連中がシナジーと言うのを聞くと、私の老齢年金は危ないと思うよ」と話していた。人々はこの言葉を信用していない。「創造的で、共同的で、協調的なシナジー」などと始終言われるせいで、シナジーというのは「社員をこき使う新手の方法」を意味する暗号だと思うようになり、身構えてしまう。守りの構えでいたら、創造的にも協調的にもなれるわけがない。しかし、シナジーは一つの奇跡なのである。それは私たちの周りの至るところにある。自然界における基本の法則である。たとえばセコイアの木は互いの根を絡ませることで、風に倒れずに信じられない高さ

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